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懐紙は多めに持っておきましょう。

懐紙は多めにお持ちになることをお勧めします。
お茶事の時には、必ず皆さまにお伝えしています。お茶事では懐紙をいつも以上に使うのです。
普段のお稽古でも、お稽古以外のお出かけでも懐紙を一冊持っていると何かと便利です。

小皿の代わりにしたり、
お口を拭いたり、
ランチなどの割り勘を包んで幹事に渡したり、
ちょっとした時に実にスマート。

そしてゴミを捨てる時にも…
茶室にゴミ。
嫌ですよね。不快です。
皆さまに不快な思いをさせないように、工藤も宗嘉先生も毎日掃除を念入りにしています。
毎日必ず掃除をし終えてから、皆さまをお迎えしています。
それでも、思わぬところにゴミは落ちています。
皆さまが目にする前に見つけているつもりですけれども、それでも間に合わないこともあり、申し訳ないと思っています。

ですが、もしもゴミを見つけたら…
懐紙に畳んで袂に入れておき、休憩時間に捨てることをお願いしたいと思います。
そのような仕草に皆さまの心の美しさが表れるからなのです。
成熟した大人の女性にしか出来ない仕草です。
そして案外とこのような仕草が人から見られているのです。
こういうことが自然に出来る女性は、ご自身のお家もきっと清潔で美しいだろうと想像されます。
よそのお茶会にお邪魔する際なども、そのような行動ができると素敵です。
ですので、懐紙はいつも少し多めにお持ちになることをおすすめいたします😊🤲

2024年06月05日

伝わる文章の書き方

思った通りに相手に伝わらない…
意図を確実に相手に伝える技術に苦手意識を持つ方がとても多くいらっしゃいます。
日々誰もが言葉に触れているのに、なぜこの技術が難しく思われているのでしょう。
理由には主に以下の3つが挙げられるようです。

・敬語が難しい
・話を短くまとめらない
・始め方と終わり方が分からない

この3つの特徴は、実は幼児性から来ています。
『あのね〜、今日ね〜、学校行ったらね〜、〇〇ちゃんがね〜、宿題忘れてね〜、あ!そのおやつ!新しいのだ。食べる食べる!』

敬語がなく、話にまとまりがなく、筋も通らず、最後は尻切れとんぼの状態。
多分、このときの子どもは身体をくねくねと動かしながら、手も足も動かしながら話していると思います。
そういう子どもの姿はかわいいし、まとまりがない話にも癒されます。
口から出る言葉の内容はどうでもよくて、魂でコミュニケーションを取っています。
大事な成長段階です。

しかし大人はそうはいきません。
大人の言葉へと切り替えていくには、敬語を習得するにはどうしたら良いのでしょうか?
あまりにも苦手意識が強い場合には子どもの成長段階に習って、少しずつ慣れていくことをお勧めします。

私のお勧めは絵本の音読です。
なかでも『科学絵本』が参考になります。
子どもが敬語を習得するのは家庭ではありません。学校です。
学校の国語の授業で少しずつ慣れていきます。
国語の授業では教科書の音読をして、身体に敬語を入れていきます。
口の筋肉を動かす練習をします。
まず自分の口から敬語が出ないことには、文章で記すこともできないのです。
学校の国語の教科書でよく取り上げられているのが、甲斐信枝さんの科学絵本です。

え?今さら絵本?
意外に思われるかも知れません。
しかし大人になってから改めて絵本に触れると、平易な言葉の背後にある情報の多さに気付かされます。
絵本の言葉遣いはとても美しく、文章の構成にも無駄がありません。
また、相手が子どもだからといって雑な扱いはしていません。
子どもの勘の鋭さは時に神がかっているほどで、警戒心がとても強いのです。
その警戒心を丹念に解きほぐす、精神的な練れも見て取れます。

甲斐さんはたくさんの絵本を出されています。
私が特に好きなのが
『ひがんばな』
『稲と日本人』
です。

絵からは植物に対する深い愛情と尊敬の念を感じます。
土や虫や植物を大事にして、先生と崇めて、すこしでもそこに近づきたいという謙虚な気持ちが絵からも文章からも伝わってきます。
だから同じ本でも、何回も何回も読みたくなります。

こういうものを教材として触れていると、敬語に温かみが生まれてきます。
敬語や丁寧な言葉は、相手との距離感を保つ緩衝材ですが、絵本を参考にすると冷たくなりません。
また嫌味にもなりません。

伝わる文章の目的は『自分との関わりを継続的に持ってもらうこと』にあります。
人間味はとても大切です。
ご自身がホッと心和む、美しい言葉で紡がれている絵本の音読を、ぜひ続けてみてください。
習得に時間は掛かりますが、借り物ではない本当の力がつき、ご自身の支えとなることでしょう。

2024年06月05日

決め手は『きちんと感』

人の輪の中に入る時に、すぐに溶け込める方と
そうではない方とに分かれます。
この差はどうやら『きちんと感』に依るもののようです。

すぐに溶け込める方は全てにおいてきちんとされておられます。
・身なり
・言葉遣い
・所作
・タイムスケジュール
・金銭管理
・文章作成

きちんと感が周りのひとを安心させるのです。
『この方に任せれば大丈夫』
そして実際のところ印象の通りなので、ますます信頼を得ていかれます。

そして感心するもう一つの長所がこちら
・自然体である

無理に溶け込もうとせず、人の輪に割って入ることはありません。
わざわざ割って行かなくとも周りから寄ってくる魅力をお持ちです。

だからと言って…
溶け込むのに時間が掛かる人が悪いわけではありません。
誠実な人格は徐々に相手に伝わります。
ゆっくりでも確実に周りの理解を得ていき、大事な仲間となります。

ですが魅力の原石は光ることを望んでいます。
今すぐにでも。

お稽古では『きちんと感』を身につけていただきたく、言動に注意を申し上げることがあります。

お稽古の場で『うん』とお返事されていた生徒さまがいらっしゃいました。
『うん、じゃない。お返事は《はい》です』
完全に直るまで何回でも言いました。

『え゛⁉️』
間違っているところを指摘するたびにこのように反応する生徒さまにも注意します。
『え゛って言わない。私たちは大人なんです』
まだ時々におっしゃいますが、以前に比べれば大分減りました。

『すいませーん。教えてくださーい。』
水屋から大きな声で手助けを求める声を出す生徒さまには
『ご自身からお相手に静かに近づいて、《お願いします》と頭を下げましょう』
と言葉を掛けました。

どの生徒さまも注意を申し上げれば素直に頷いて行動を改めてくださいます。
そして、きちんと感が身につくのと比例するように、輪の中に溶け込んでいかれます。

多様性が叫ばれて久しい昨今。
しかし、なんでもアリとは違います。
特に大人の文化である茶道は、お互いの礼節の上に成り立つことを理解しましょう。

2024年05月20日

本音でつながる

先日のお稽古にて、営業の講師の顔ではなくて、つい本音が口を突いて出てしまいました。
ご入会して4年ほどの生徒さまとのマンツーマンお稽古。
別の生徒さまに申し上げないといけないことがあり、ちょっと目を離すと本来と違うことをなさっておられました。
『あれ?お茶巾取りました?』
『取ってません』
『も〜〜、覚えてよぉ〜💦』
いつも同じところで間違えるので、笑いながらもつい本音が出てしまいました。
生徒さま、『エヘヘ😅』と笑ってくださり、
私も(あ、しまった。言ってしまった)と思ってバツが悪くて『エヘヘ😅』と笑いました。
バツの悪さとバツの悪さが相まって、お互いの心が分かり、その本音の一言でグッと距離が縮んで却って楽しい気持ちになりました。

生徒さまの薄茶を工藤が頂戴したのですが、思わず驚きの声を上げたくなるほどに美味しいお茶でした。
ふんわりと空気をはらんだ優しい薄茶。
『ああ美味しい』
お世辞でも何でもなく、本当に美味しいお茶でした。
生徒さまは声を出さずに手を付いて会釈しました。

。。。。。。。。。
茶の湯とはただ湯をわかし茶をたてて
のむばかりなる事と知るべし
。。。。。。。。。

ああそうか。
茶の湯の本来の姿とはこのような関係を築くことなのかもしれないなと思いました。

本音を言えるようになるには、長い時間が必要です。
ある時は相手のテリトリーに入りすぎたり、
ある時は遠慮し過ぎたり…。
お互いに心地よい距離を身体で測りながら、人格をゆっくりと理解していきます。

その過程を愉しむ余裕を心に持ちなさい。
列車に揺られて景色を楽しむように。

そんなメッセージが届いた1日でした。

2024年05月20日