本音でつながる

先日のお稽古にて、営業の講師の顔ではなくて、つい本音が口を突いて出てしまいました。
ご入会して4年ほどの生徒さまとのマンツーマンお稽古。
別の生徒さまに申し上げないといけないことがあり、ちょっと目を離すと本来と違うことをなさっておられました。
『あれ?お茶巾取りました?』
『取ってません』
『も〜〜、覚えてよぉ〜💦』
いつも同じところで間違えるので、笑いながらもつい本音が出てしまいました。
生徒さま、『エヘヘ😅』と笑ってくださり、
私も(あ、しまった。言ってしまった)と思ってバツが悪くて『エヘヘ😅』と笑いました。
バツの悪さとバツの悪さが相まって、お互いの心が分かり、その本音の一言でグッと距離が縮んで却って楽しい気持ちになりました。

生徒さまの薄茶を工藤が頂戴したのですが、思わず驚きの声を上げたくなるほどに美味しいお茶でした。
ふんわりと空気をはらんだ優しい薄茶。
『ああ美味しい』
お世辞でも何でもなく、本当に美味しいお茶でした。
生徒さまは声を出さずに手を付いて会釈しました。

。。。。。。。。。
茶の湯とはただ湯をわかし茶をたてて
のむばかりなる事と知るべし
。。。。。。。。。

ああそうか。
茶の湯の本来の姿とはこのような関係を築くことなのかもしれないなと思いました。

本音を言えるようになるには、長い時間が必要です。
ある時は相手のテリトリーに入りすぎたり、
ある時は遠慮し過ぎたり…。
お互いに心地よい距離を身体で測りながら、人格をゆっくりと理解していきます。

その過程を愉しむ余裕を心に持ちなさい。
列車に揺られて景色を楽しむように。

そんなメッセージが届いた1日でした。

2024年05月20日